(1)公認心理師の役割 

公認心理師法 

公認心理理法の目的は、第1条に、

2015年(平成27年)9月9日、公認心理師法が成立し、同年9月16日に公布された。2017年9月15日に公認心理師法が施行された。

「この法律は、公認心理師の資格を定めて、その業務の適正を図り、もって国民の心の健康の保持増進に寄与することを目的とする」

と定められている。

公認心理師法(厚生労働省)

公認心理師とは、公認心理師登録簿への登録を受け、公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを業とする者をいう。

公認心理師の定義 

(1)心理に関する支援を要する者の心理状態の観察、その結果の分析
(2)心理に関する支援を要する者に対する、その心理に関する相談及び助言、指導その他の援助
(3)心理に関する支援を要する者の関係者に対する相談及び助言、指導その他の援助 (4)心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供


多職種連携

第四十二 条公認心理師は、その業務を行うに当たっては、その担当する者に対し、保健医療、福祉、教育等が密接な連携の下で総合的かつ適切に提供されるよう、これらを提供する者その他の関係者等との連携を保たなければならない。
2公認心理師は、その業務を行うに当たって心理に関する支援を要する者に当該支援に係る主治の医師があるときは、その指示を受けなければならない。

生物(bio)心理(psycho)社会(social)モデル

公認心理師は対象者の心理的な面だけに関わるのではなく、生物(bio)心理(psycho)社会(social)モデルの視点をもって、他の専門職などの関係者との連携をつくる必要がある。

医師や看護師、言語聴覚士、理学療法士
児童福祉司、社会福祉士、教師、精神保健福祉士、スクールカウンセラー、産業カウンセラー
臨床心理士、臨床発達心理士、認定心理士
など。

地域連携

地域にあるリソースを熟知し、適切に活用するためには地域連携が求められる。

(2)公認心理師の法的義務及び倫理 

信用失墜行為の禁止

公認心理師法第40条に、
「公認心理師は、公認心理師の信用を傷つけるような行為をしてはならない」
と規定されている。


弁護士ドットコムの「信用失墜行為の禁止」というページには、次のように説明されていた。

"信用失墜行為は執務時間の内外を問わず、また、職務に直接は関係のない行為であっても該当する場合がある。また、犯罪行為にも限定されず、道徳的非難の対象となりうる個人的なスキャンダルや、市民への著しく粗野な態度なども、信用失墜行為にあたりうる。具体的に挙げられる事例として、わいせつ行為・セクハラ・飲酒運転などが該当する。"

秘密保持義務

公認心理師法第41条に、

「公認心理師は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない」と定められている。

「正当な理由」とは人命に関わることや、裁判・司法などの法手続きを指している。

関係者等との連携等

上に既出。第四十二条。

資質向上の責務 


倫理的ジレンマ 

倫理的なジレンマの例としては、「タラソフ判決」などが挙げられる。守秘義務は重要だが、虐待の疑いや重大な危機が存在する場合、適切な行動を取らなければならない。

タラソフ事件

1969年10月にアメリカで、タチアナ・タラソフ(Tatiana Tarasoff)という女性がボダー(Prosenjit Poddar)という男性の精神病者に殺害されるという事件が起こった。ボダーを治療していたムーア博士(Dr. Lawrence Moore)は、ボダーが「ある女性を殺そうと思う」という計画を聞いていたが、守秘義務があるためタラソフにその危険を伝えることはしなかった。ボダーは一時、警察に身柄を拘束されたが、釈放された後、タラソフを殺害した。この事件の後、専門職にはこうした際に患者だけでなく、患者の犠牲になりうる人々に対しても責任を追うという考えが一般的になった。

Revisiting Tarasoff Psychology Today

では、タラソフ判決の後の数十年間で、米国の33の州で「タラソフ法」が可決したとされている。11の州ではセラピストの裁量に任されているとのこと。

この記事では、差し迫っているかもしれない危険の度合いを見積もるのは、実際のところ非常に難しいのではないか、との問題提起されている。

例として、
患者が「今晩、家に帰ったら妻の腕に切りつけてやる」と言い、セラピストが「殺すつもりか」と尋ねたら「いや、ちょっと血が出るくらいでいいんだ」と答えた。
といったような事例や、
「妻が泣くまで怒鳴ってやる」
といったことなどが挙げられている。

多重関係

「職業倫理の7原則」の第3原則には、「相手を利己的に利用しない」との項目が規定されている。『公認心理師現任者講習会テキスト』には、
多重関係を避ける。クライエントと物を売買しない。物々交換や身体接触を避ける。勧誘(リファー等の際に、クライエントに対して特定の機関に相談するよう進めること)を行わない、など

と説明されている。多重関係の弊害としては、

  • 中立性や客観性が保たれない
  • 利害の対立や個人的な意見がからむ
  • 予断や偏見に影響されやすい
  • クライエントを一層弱い立場に追いやる
  • クライエントが十分な自己開示を行いにくくなる
  • 性的多重関係につながる恐れがある
といったことが挙げられている。

Multiple relationships and APA's new Ethics Code: Values and applications

(3)心理に関する支援を要する者(以下「要支援者」 という。)等の安全の確保と要支援者の視点 

リスクアセスメント 

公認心理師は、教育訓練によって習得した専門的能力の範囲内で援助を行う。自身の専門的能力を超える場合にはリファーを行うことが求められる。そのためには、的確なアセスメントが必要。


危機介入


自殺の予防 

「自殺対策基本法」(2006)
年間の日本の自殺者数が3万人を超えていた日本の状況に対処するため制定された法律
第一条 この法律は、近年、我が国において自殺による死亡者数が高い水準で推移している状況にあり、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して、これに対処していくことが重要な課題となっていることに鑑み、自殺対策に関し、基本理念を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、自殺 対策の基本となる事項を定めること等により、自殺対策を総合的に推進して、自 殺の防止を図り、あわせて自殺者の親族等の支援の充実を図り、もって国民が健 康で生きがいを持って暮らすことのできる社会の実現に寄与することを目的とする。
「自殺総合対策大綱」
平成29年7月、「自殺総合対策大綱~誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して~」が閣議決定。

  • 地域レベルの実践的な取組の更なる推進
  • 若者の自殺対策、勤務問題による自殺対策の更なる推進
  • 自殺死亡率を先進諸国の現在の水準まで減少することを目指し、平成38年までに平成27年比30%以上減少させることを目標とする

(4)情報の適切な取扱い 

秘密保持義務


個人情報保護法関連5法


  1. 個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法) 
  2. 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律 
  3. 独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律 
  4. 情報公開・個人情報保護審査会設置法 
  5. 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(整備法)

専門家間の情報共有


業務に関する記録の適切な保管



インフォームド・コンセント

臨床心理学的実践の場では, 心理臨床家はクライエントに対して十分な説明を行い, クライエントは 疑問があれば率直にたずねる。心理臨床家は疑問に 対しては誠実に答えるが, 選択肢に対しては中立的 態度を貫き, 価値判断を控え, あくまでクライエントが自己決定できるように促しそれを援助する(重野, 2003)。このような対話を繰り返す中で心理臨 床家-クライエント間の信頼関係を構築し, クライエントが自己決定を下すといったプロセスをインフォー ムド・コンセントでは辿ることになる。そしてこの 自己決定は1 回のみの対話で下すのではなく, プロ セスの中で到達することが望ましい。
臨床心理学におけるインフォームド・コンセント[pdf]


プライバシー保護 



(5)保健医療、福祉、教育その他の分野における公認心理師の具体的な業務 

心理検査 


心理療法 


チーム医療  


虐待への対応 

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